
活動
和歌山県では、県立自然公園の抜本的な見直しのため「自然環境保全のグランドデザイン」の中間報告を2008年3月11日行い、
一般に意見を求めましたので熊野原人の会は下記の提言書を自然環境室に提出しています。
和田川の上流も県立自然公園となることを願っています。
自然環境保全のグランドデザイン(素案)への提言
この度は、和歌山県立自然公園の候補地として和田川を取り上げていただきありがとうございます。 私どもは、熊野の自然、特に和田川に注目し、この自然の保護を目的として2007年12月1日に熊野原人の会を設立いたしました。 会員は、和田川流域の小口住民8名、小口住民以外の新宮市民7名、熊野出身の他県民18名、 熊野の自然保護に賛同する和歌山県民1名、熊野の自然保護に賛同する他県民14名の計48名です。 奇しくも自然環境保全のグランドデザインを策定している時期に遭遇し、 このように提言できる機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。 和田川を県立自然公園に推挙する理由 熊野原人の会は、下記の点において和田川を県立自然公園に指定し、その自然を保護すべき流域と考えます。 (1) 傑出した景観 −峡谷美、渓谷美について− 和田川峡谷沿いに林道が建設され、容易にその地に車で到達できるようになりました。 その結果、和田川峡谷の美しさは多くの市民に知られるところとなりました。 特に長瀞橋近辺の切り立った崖、そこに生息する原生林、生物は原始そのものに残されています。 自然公園として長瀞橋近辺から小口川と合流するつきあいまでを県立自然公園にと策定され賛同いたしております。 しかしながら、この地域のみでは不十分と考えています。 実際、この策定されました峡谷よりさらに美しい峡谷美、渓谷美を備えた地帯がこの上流に存在します。 和田川1号隧道と2号隧道の間の道路の崖下に存在する砂防堰堤から倉谷口までの和田川を「7日回り」といいます。 この「7日回り」は添付の地図に示したように“ひ”の字のように蛇行しています(矢印)。
図1 和田川 : (熊野川漁業組合ホームページより転載)
この蛇行を避けるために1号隧道が掘り抜かれています。
これが功を奏して「7日回り」は、観光客はもとより地元の人々にも見られることなく、
一部の人のみぞ知る秘境となりました。「7日回り」はゴルジュ帯を形成し、川原はほとんどありません。
川幅も狭いところは2.5m、その部分の深さは7mとなっておりクレフトを形成しています。
このゴルジュ地帯の長さは1.3kmにも及び、極めて傑出した自然の景観美を備えており、
自然公園として相応しく、策定された和田川峡谷の上流方面への拡大が必要と考えます。

図2 7日回り : ここを下るには約1時間の行程ですが、材木の運搬には7日を要し、
その日数がここの地名となりました。
ここにはチヤドロといわれる伝説も残されています。
(2) 自然性が高い―水質が極めて良好な清流に多種多様、貴重な生物が生息
第三紀始新世〜漸新世(5000万年〜2500年前)の牟婁層群、
1400年前頃に堆積した熊野層群でろ過された水が和田川に流入しており、雪解け水とは異なりその水質は極めて良好です。
また、和田川流域には平地も少なく、上流には田畑がほとんどありません。そのため、農薬による汚染は皆無です。
また、上流に在住する民家は2件のみであり、生活廃水による汚染も極めて少ない流域です。
将来、この上流に産廃処理場が建設された場合には取り返しのつかない事態が予想されます。
生物に関しましては絶滅危惧1A類を始めとし、貴重な動植物が生息しています。
和歌山県レッドデーターブックで絶滅となっている植物も生息しています。
南限とされていました大塔山山頂古座川町のブナ林は登山道建設のために1998年に伐採され、
その影響が大きく残っているといわれています。その東方に位置する和田川上流の奥山にはまだブナ林が原生の巨木のまま残存しています。
また、和田川、それに続く赤木川、熊野川には砂防堰堤は数個建設されていますが、ダムは河口までなく、
魚類が自由に往来できる環境が保たれてきました。そのため、絶滅危惧種の魚類が自然のまま生息しています。
中には和歌山県のレッドデーターブックで絶滅種となっている魚類もこの和田川では生息が確認されています。
この魚類は絶滅種ではなく、絶滅危惧種として保護する必要があります。
昆虫では、紀州藩が奨励したニホンミツバチが多く生息しています。昨今ではセイヨウミツバチが全国レベルにおいてテリトリーを広げていますが、
この地ではニホンミツバチが主たるミツバチです。ニホンミツバチは採蜜性においては効率に欠けるもののその味はセイヨウミツバツを遥かに凌駕しており、
紀州特有のミツバチとして温存する必要があります。
大型動物では、カモシカの生息も確認されています。パラボックスウイルス感染により一時カモシカの丘疹性口炎が認められましたが、
その後も現存いたしております。
和田川は、まさに自然性が高く、また地域特有の多様な生物の生息・生育環境が維持されている峡谷と提唱いたします。
(3) 人と自然との関わり合い―水温が高い―
和田川は、水温が高く、夏には21〜24℃まで上昇いたします。
全国で清流といわれる河川は数多くありますが、通常はその水温は低く、低いがためにその清流が保たれています。
水質のよい清流でありながら水温が高い河川は数が少ないと推測されます。これは夏の水遊びの環境としては最適です。
和田川はすがすがしい峡谷として小口の住民の憩いの場として今まで親しまれてきました。
また、紀南地方には珍しく秋には紅葉が見られ、春には山桜、夏には川ツツジが花開き地域の人々にも親しまれてまいりました。
和田川と小口川の合流点は“つきあい”といわれ、過去においてはここには網場が設けられ、
材木の集積場でもありました。筏による航行の安全を願ってこの網場を見下ろす山頂には金毘羅神社があります。
海岸沿いの金毘羅神社は多くありますが、山中の金毘羅神社は珍しくこの金毘羅山も文化遺産の一つとして含められることを提案いたします。
以上のことから、“和田川を全流域にわたり県立自然公園とする”ことを要望いたします。
平成20年3月17日
熊野原人の会一同
この度は、和歌山県立自然公園の候補地として和田川を取り上げていただきありがとうございます。 私どもは、熊野の自然、特に和田川に注目し、この自然の保護を目的として2007年12月1日に熊野原人の会を設立いたしました。 会員は、和田川流域の小口住民8名、小口住民以外の新宮市民7名、熊野出身の他県民18名、 熊野の自然保護に賛同する和歌山県民1名、熊野の自然保護に賛同する他県民14名の計48名です。 奇しくも自然環境保全のグランドデザインを策定している時期に遭遇し、 このように提言できる機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。 和田川を県立自然公園に推挙する理由 熊野原人の会は、下記の点において和田川を県立自然公園に指定し、その自然を保護すべき流域と考えます。 (1) 傑出した景観 −峡谷美、渓谷美について− 和田川峡谷沿いに林道が建設され、容易にその地に車で到達できるようになりました。 その結果、和田川峡谷の美しさは多くの市民に知られるところとなりました。 特に長瀞橋近辺の切り立った崖、そこに生息する原生林、生物は原始そのものに残されています。 自然公園として長瀞橋近辺から小口川と合流するつきあいまでを県立自然公園にと策定され賛同いたしております。 しかしながら、この地域のみでは不十分と考えています。 実際、この策定されました峡谷よりさらに美しい峡谷美、渓谷美を備えた地帯がこの上流に存在します。 和田川1号隧道と2号隧道の間の道路の崖下に存在する砂防堰堤から倉谷口までの和田川を「7日回り」といいます。 この「7日回り」は添付の地図に示したように“ひ”の字のように蛇行しています(矢印)。

図1 和田川 : (熊野川漁業組合ホームページより転載)

図2 7日回り : ここを下るには約1時間の行程ですが、材木の運搬には7日を要し、
その日数がここの地名となりました。
ここにはチヤドロといわれる伝説も残されています。
平成20年3月17日
熊野原人の会一同
Copyright© 2008 The Society of Kumanogenjin All rights reserved.